WAKITA MUSEUM OF ART 脇田美術館
脇田和未発表作品展 マニラの情景 Cut of Manila


2005年8月26日(金)〜11月24日(木) 脇田美術館
脇田和の未発表作品展『マニラの情景−Cut of Manila』では、近年、新たに発見された、脇田和が戦時中にフィリピン島マニラに滞在していた折に描いた未発表の水彩画(31点より抜粋)を展示いたします。その過酷な時代に、その土地で共に生きた人々の時折見せただろう穏やかな日常が、脇田和の記憶の断片となり美しく淡い色彩とともに現在垣間見ることができます。 

脇田和(1908〜)は、小さきもの、手の届くところにあるもの、気心の知れたものと常に対話し、身近にある自然や事象をモチーフに心の眼を通して作品を描いてきました。初期作品には人物像も多く描いておりますが、1945年に久ケ原のアトリエが戦災に遭い、戦前に描かれた作品の多くが残念ながら消失しております。今回の展覧会では、脇田和が、戦時中にフィリピン島マニラに滞在していた折に描いた未発表作品(31点より抜粋/近年新たに発見されたもの)を、1920年代から近作作品を紹介すると共に展示公開いたします。
そこには争いはなく、人々の優しく柔かな日常があり、ほのぼのとした情感や、穏やかにそこで暮らす人々の光景が、美しく淡い水彩画で描かれております。脇田和が残したマニラの記憶−純真な表情を見せる人々のその姿につかの間の安らぎを見い出していたのかもしれません。

「戦争たけなわの頃、私は軍族として一年程フィリピンにいた。戦火の中、こんな呑気な絵を描いたかと自分ながら不思議に思う。軍服に長剣を腰にいかめしい格好をしていたが、胸のポケットには自制の小さなスケッチブックを忘れなかった。いつも身につけていたものだけに命あって共に今日生き残っている」
展覧会にあたって−脇田和

展示期間 2005年8月26日(金)〜11月24日(木)
開催場所 脇田美術館 2F
お問合せ 0267-42-2639 (脇田美術館)